電気製品を売るときの『壁』

こんにちは、梅桃企画(ゆすらきかく)です。

先月のことになりますが、専門家として企業支援プログラムに登録している大阪の財団主催の交流会に行ってまいりました。

80余名の専門家が集まる会で、ほとんどが弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士といった経営面をサポートする方がほとんどで、モノづくりに関わる方は少数派。
中でも技術士は当方含めて2名のみ、だったかと。

そんな中で元メーカー・貿易関係の方と話をしていて話題に上がったのは、

(製品を販売される)みなさん、「安全規格やノイズ規格に適合している必要がある」こと、意外とご存じない

ということでした。

メーカーで自社製品を開発・設計・製造・販売されている会社ではよく知られていることではあります。

が、新しく電気製品の製造・販売を始められたり、輸入販売で電気製品を取り扱かいを始められる(もしくはすでに取扱をしている)会社ではよく知られていないことも。
もしくは知ってはいるものの、輸入先メーカーに任せっきりという場合もあるかと思います。

その事例に近いのではないかと思ったのが、つい最近ホームセンター大手の「コーナン」が発表した下記のコメントの事例です。

「このたび弊社が輸入事業者として過去に輸入・販売した電気用品に関して、
電気用品安全法に定める商品の安全性に係る義務を果たしていない電気用品がある
ことが判明いたしましたので、対象商品を自主回収させていただきます。」
(全文はこちら)

大きな会社です。
実際の管理体制がどうなっていたのかは想像できません。

日本のメーカー品であれば海外製造品でもきちんと電気用品安全法に則った管理と、それに従ったPSEマークを付与されていると思います。
もちろん海外のメーカーであっても、同様にきちんと管理された製品を製造、販売していることが一般的です。
(要望すればテストレポートなどを明示してくれます。)

どうもこのコーナン社の事例では、輸入した製品が電気用品安全法に則った試験をして合格しているかどうか分からないのにPSEマークが付けられていて、マークが付いているからOKだろうということで市場に売ってしまった、ということのようです。

もちろんだからといって一概にその製品が危ない、という訳ではありません。
試験を実施していないようなので安全品質が不明、ということです。
コーナン社の文面でも「安全性に係る『義務』」という言葉になっていますね。

最近では小規模な会社でも輸入販売を始められるところが多いように思います。
(数値データが見つかりませんでした。すみません。)

医薬品や化粧品は規制が厳しいことはよく知られている方と思いますが、電気製品も売るときの『壁』が存在します。

多くの国では電気製品について「安全」で「環境」を損なわず「ノイズ」を撒き散らしたり誤動作したりしないことが、法律や規則によって決められています。

海外ではUL、CSA、CEといったマークで製品が安全である、というお墨付きを与えられています。
国によって、製品によって、これらのお墨付きが無いと販売ができないことも多くありますので、電気製品を取り扱われる場合は、「事前」にしっかりと確認しておくことを強くお奨めします。

製品が出来上がって(もしくは完成品を持って来て)、さぁ試験を、と思っても、試験に合格しなかった場合の手直しは相当な時間と費用がかかってしまいます。
場合によっては試験を受けるための資料が揃わずに、試験自体を受けることが叶わない場合もあります。

新しく製品を作るなら、設計段階から試験に合格するように考慮して設計すること。
購入品なら、購入前に各種の規格に適合していることを確認してからお取り扱いください。

少々面倒ではありますが、電気製品を取り扱う時には越えなければならない壁なのです。

種々の使用条件により適合の要・不要の判断が必要です。
専門の相談窓口、地域の支援機関などにお問い合わせください。

経済産業省・電気用品安全法のページ
日本貿易振興機構(JETRO)
一般財団法人 電気安全環境研究所(JET)
PSEジャパン
大阪産業創造館
神戸市産業振興財団
公益社団法人 日本技術士会
◯各地の商工会議所、工業試験場など

もちろん梅桃企画(ゆすらきかく)は商品として世の中に出ていく製品を作るという視点に立ち、一緒になってお手伝いします。